江戸組紐とは

組紐とは

 組紐とは、言葉の通り、紐を組み合わせていくことで、太い丈夫な紐へと仕上げていきます。飾りをつけるための根付紐など紐の形が丸い「丸組」は、四つ組(4本で制作する)、八つ組、十二組という風に4の倍数の紐を使います。また、帯締め等で利用される紐の形が平たい「平組」は三つ組、五つ組、七つ組、九つ組という風になります。これらはすべて手で組んでいきますが、複雑なものよりもシンプルな四つ組の方がごまかしができないため、職人の腕の差が出てきます。

江戸の染め

 組紐では生糸(絹の糸)を利用します。生糸は白いので、組紐の最初は糸を染めるところからはじまります。染め方にはさまざまな方法があり、組み上がりの形を想定しながら染めていきます。江戸の染めは、全体的に渋めです。例えば、江戸小紋とよばれる、遠くから見ると一色しかない着物だけど、実際には細かい模様が付いている着物に合わせるために、明るい色というよりは少しくすんだ色で染めていきます。

染めの難しさ

 染めは、単純に染めるだけではありません。生糸は最初は束ねられています。そこから組める紐へと下準備をします。単純に染液につけるだけでは、絡んでぐちゃぐちゃになってしまいます。組紐の職人は、生糸を生き物のように扱います。蚕が作り出した糸を、暴れないようにそっと染めていく。絡まると使える糸にならないので、染めの時点から職人の技が試されます。

きれいな組み目

 組み作業でのポイントは、集中しすぎないこと。リラックスした状態で、手が覚えている作業を繰り返していきます。紐を組みあげるためには何百回と同じ動作を繰り返していきますが、糸に触れていると、自然と手が動いていきます。
 江戸組紐は、きれいな組み目が特徴です。渋い染め色と合わさることで、江戸らしさを感じさせる組紐が完成します。